江戸しぐさ 第15回 結界わきまえ

 今回は、人が世間で生きていく上で基本的な心得とでもいうべき「結界わきまえ」というしぐさについてご紹介したいと思います。
 人には一人ひとり特性というものがあります。それをそれぞれが生かして世の中が成り立っているといっても過言ではありません。
 しかし、人の種類にはさまざまなものがあってその一つに「おせっかいな人」というのが挙げられます。


自分の立場をわきまえる
おせっかいはほどほどに

 この種類に当たる人は、人の領域にずかずかと土足で入ってきて物事をかき回してしまうことが多々あります。
 「結界わきまえ」とは、自分の立場をわきまえること、自覚することを指します。噺家が、自分の膝の前に閉じた扇子を一本置きますが、これは、客と自身の結界を明らかにしているのだそうです。また、江戸時代は、稚児(子供)言葉では、「結界覚え」といって、そのしぐさは、遊びにも取り入れられていたということです。
 何事も自分の領域以外のことに口を出すと自分は人の役に立っていると思っていても、結果的には、相手に多大な迷惑をかけてしまうことになりかねません。
 自分が分からないことには、決して首を突っ込まない、口を出さないが社会で生きていく上での基本的なマナーです。
 思わず、おせっかいを焼きたくなったら、そこで一呼吸、自分の領域でそのエネルギーと知恵を活かせば、自身だけでなく、社会にも役立つことができるかも知れません。