日本再発見 第1回 味覚とのたたかい

 日本を離れて長期間、海外で生活してみると、日本にいては分からない文化の違いなどに気づくことがあります。この違いを身近な例を取りながら紹介します。日本の良さ、学ぶべきことなどがあらためて見えてくると思います。
 海外に長期で住むことの最重要ポイントは、質の良い日本の食材が手に入るか…に限ります。
 日本から引っ越す前に、一度見に行った、日本食料品店には「ないものはない」と思ったほど規模も大きく、食材も揃っているように見えました。
 スーパーに入ってしばらく商品を見た後、「私はここ(アメリカ)に住めます!!」と主人に宣言したほどです。


繊細な舌を持つ日本人
うまみを感知する

 それから1年半が経ちました。住んでみると、野菜や魚の味が微妙に違うので家で調理すると、なんとなく日本とは違う味になりますし、日本のコンビニやデパ地下のありがたさが身にしみます。
 海外に住んだり旅行に行ったりした方は経験があると思いますが、おいしくて味の種類豊富なお菓子や飲料、日本人の心の友、おにぎりなどが恋しくなります。
 デパ地下にある名店の焼き鳥やとんかつなどお惣菜やお弁当もなつかしい限りです。
 私たちが住んでいるところにも高級食材スーパーがあって、デリカテッセンでは各国のお料理が調理され売られていますが、やはり生まれてからずっと食していたこの舌が、生粋の日本の味を覚えているため、どんな高級なデリであろうがレストランに行こうが、つい愚痴めいた言葉やため息が出てしまうので困ります。
 私の義父母が日本のホテルで食べたクロワッサンはフランスのよりおいしかったとべた褒めだった時は、ふと心の中で誇りに思ったものです。
 先日テレビを見ていたら、ある有名醤油メーカーが「UMAMI(旨み)」の味覚をアピールして最後に醤油ボトルが大写しになるというCMを見ました。
 甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、辛い、に加え日本人の舌には「うまみ」という味覚を感知する特徴があるというわけです。
 だしの旨み、野菜のうまみ、素材そのものの本来の味を損なうことなく調理する日本の調理法はすばらしいものなので、今や世界中が日本食ブームです。
 みそ、わかめ、しいたけ、大根など、もはや、寿司、天ぷら、豆腐と同じように英訳されずに売られています。
 しかし、こちらで日本食を食べるときは多少裏切られることを承知でレストランに入ります。「Teriyaki&Sushi」などと書いてあるお店は大体入りません。
 オーナーと料理人は日本人であるか、本当においしいか、友人知人に聞いて調査してから入ります。
 高級レストランで魚の西京焼きにバターが乗って出てきたときは私が憤慨したため、食事代金はすべて無料となりました。(笑)
 日本に帰国の際は、本格的な寿司と蕎麦を食べることが私の楽しみです。