台湾元総統・李登輝氏の講演 その1

 9月6日、東京・日比谷公会堂において、台湾の元総統・李登輝氏が「この国に誇りと希望を」をテーマに講演を行った。
 冒頭、わが国の衆議院選挙の結果について触れ、2大政党は喜ばしいことであり、民主党が政権交代を実現したことに祝意を示し、国民の安寧を第一に考え、尊敬を受ける政治を行うことを期待したいと述べた。しかし、民主党の政策の中にはイデオロギー色が強いものがあり、民主党が氏の期待に応える政治を果たして行えるのか、疑問を感じるのは筆者だけではないと思う。


龍馬の「船中八策」に基づいた若者へのメッセージ
 さて、講演の内容は「龍馬の『船中八策』に基づいた、私の若いみなさんに伝えたいこと」というタイトルで行われた。
 坂本龍馬は言うまでもなく、幕末の志士であり、日本を戦火から救うために、薩長同盟を完成させ、さらに大政奉還へと導いた人物。
 「船中八策」は、長崎から京都に上る船の中で新国家像を描いたもの。これに基づいて大政奉還が実現し、明治政府成立後の「五箇条の御誓文」など、新政府の運営にも大きな影響を及ぼした。
 李登輝氏は、なぜこのテーマを選んだのかというと、自身が台湾総統に就任したとき、PHP総合研究所の社長・江口克彦氏から激励と「船中八策」に基づく提言をもらい、氏は大いに励まされ、政治を行う上でも役立てたという。
 龍馬はわずか33歳という短い命であったが、土佐藩を脱藩して勝海舟の門下に入って暗殺されるまでの5年間に藩という枠を超えて、新しい国づくりのために東奔西走した。
 今、日本は明治維新以来の政治改革が必要なときであり、特に若い人たちへのメッセージとして、龍馬の「船中八策」になぞらえて提言を行ったのである。