一流に学ぶ

 タイのオリエンタルホテル「ザ・オリエンタル・バンコク」に宿泊した知人から、感想を聞いた。このホテルは、世界のホテルランキングで何度もナンバーワンになったホテルである。確かに建物の外観やロビーの雰囲気などはとても豪華だったけれども、最近は一流のホテルも増え、豪華さという点で上をいくホテルは、世界を見渡せば、たくさんありそうだと知人は言う。


全従業員のおもてなしの心が人をひきつける
 では、なぜ何度もナンバーワンになったのか。それは、サービスの質にあるようだ。4日間宿泊して印象に残ったというのは、従業員の一人ひとりがお客さんに対しておもてなしをしよう、という態度で接していたこと。
 スタッフは皆笑顔で、掃除をしている方も含めて、不機嫌に接する人はいなかったという。エレベーターで部屋に行くときには、エレベーターボーイがサッと自分たちが泊まっている階のボタンを押してくれる。また、部屋でビールを飲もうとしたときに、バトラー(執事)が入ってきて、一度部屋を出て行ったと思ったら、すぐにビールのおつまみを持ってきたそうである。もちろん無料のサービスで。
 このホテルでは、さまざまなスタッフが、お客さんの顔と名前、宿泊している部屋などを覚えようと努めているようだったという。その人、その場所に合ったサービスを提供されると、とても嬉しいものだと、知人はこのホテルがナンバーワンになったことに納得していた。
 2年前に世界のホテルランキングで第2位になった日本のあるホテルでも、スタッフの裁量でお客様にサービスすることが許されているという。決められたマニュアルはほとんどない。
 ホテルに着いたとき、タクシーの支払いで細かいお金がなく、お客様が困っているとき、すぐにお金がくずれるよう、いつもポケットに小銭をしのばせているドアマン。お客様からどんなことを聞かれても答えられるように、分厚い手帳に情報をびっしり書き込んでいるベルマン。さらに、このホテルでは、客室から出たゴミは必ず専用の部屋で1日以上保管しておく。お客様がうっかり捨ててしまった大事なものが後から見つかり、感謝されることもあるという。
 いかに喜ばれるかを相手の立場に立って先手先手で考えていく。マニュアル化は大切だが、必要なことをわきまえた上で人、時、場にふさわしい個別の対応をする。それが、人の心に残る最高のサービスと言えそうである。