江戸しぐさ 第9回 のんきしぐさ

 今回は、「のんきしぐさ」についてご紹介したいと思います。「のんき」という言葉の響きはあまりポジティヴ(積極的)なものではありませんが、江戸時代、「即実行」が基本だった反面、ゆっくりと物事の成果を待つ、「のんきしぐさ」も重要視されました。


人の失敗には寛大に
長い目で人を育てる
 
 江戸の人々は、人が失敗しても、頭ごなしに怒らず、ゆったりと構え、成長するのを待つだけの寛大な心を持っていたそうです。
 失敗したことをやたらと怒ってしまうと失敗を恐れ、成長しなくなってしまうという考えもあったのでしょう。そして、江戸の商家は、ゆっくりでもいいので仕事をしっかりと覚える事を求めていたそうです。
 現代は、すぐに結果や成果を出さなければいけないというような風潮がありますが、すべての物事を早期に仕上げるのは無理があります。事柄によっては長い時間を経なければ成果が出ない場合もあります。
 昨年、日本からノーベル賞受賞者が二つの部門で四名も出るという快挙がありましたが、このことがまさしく「のんきしぐさ」を表わすよい例ではないでしょうか。
 受賞された方々は、長い年月をかけて研究をしてこられ、この度、見事にその成果が認められ、歴史的な快挙を遂げられました。この何十年という年月の中で、きっと幾度となくいろいろな事を経験されたからこそ、今回の素晴らしい結果が生まれたのだと思います。
 物事を素早くこなしていく事もとても大切なことですが、あまり急ぎすぎてかえって逆効果を生んでしまうことも多々あると思います。
 時間をかけた分、よい結果、人材を得る事ができるのなら、ゆったりと構えるのも、悪くはないのではないでしょうか。
 もうすぐ、春です。いろいろな場面で新しい人に出会うことがあると思います。そんな時、もし人の失敗を見かけても、頭ごなしに人を決めつけたり、腹を立てたりせず、江戸時代の人々のように大きく、ゆったりと構えてみるのも大切なのではないでしょうか。