江戸しぐさ 第8回 水かけ言葉

 今回は、「水かけ言葉」についてご紹介したいと思います。
 人が気持ちよく話している時、せっかくのその場の楽しい空気を台無しにしてしまう人がいます。江戸では、人の話を「だから?」や「それがどうしたの?」のような言葉で遮るのはタブーとされていました。
 このしぐさの名前の謂れは、水を浴びせられたようになってしまうことからこのように呼ばれたそうです。


話の腰を折るのは良くない
 言われてみれば、現代では、日常茶飯事、この水かけ言葉が使われているように思います。
 たとえ自分とは縁遠い話題であっても、その場の雰囲気を壊さず、黙って聞いているのが、江戸の人々の心得だったのです。
 当時は、今のように誰とも付き合わずに暮らすことができない環境だったため、人と人との関係を壊すようなことは慎まなければなりませんでした。
 現代では、教師と生徒、親と子などの間で「敬う」という部分が欠けているように思います。
 そのため、子供や若者たちの間でこの水かけ言葉が多く使われているのだと思います。そして、このような状態を生んだのは、ほかでもない私たち大人なのです。きっと自分でも気づかぬうちに誰かに対して、失礼な態度で接してしまっているのでしょう。
 大人になると子供のころに比べていろいろなことが自由だと感じる人は少なくないのではないでしょうか。
 しかし、その反面でこれから育っていく幼い子供たちや若者が、いつも自分たち大人を見ているということを決して忘れてはいけないと思います。
 私たち大人が常に自分を磨き、「いい姿」、「格好いい姿」を見せて、敬われるように努力をすればきっと後からついてくる世代も「水かけ言葉」など使わずに素敵な大人になってくれるのではないでしょうか。
 そんな大事な人類の将来のためにも私たち一人ひとりが、良いお手本となれるよう日々、輝き続け、世の中に良い影響を与えられるような人間に成長していきたいものです。