ならぬ事はならぬ(2)

「ならぬ事はならぬ」この言葉は何十年か昔、私が中学に入学したときに最初の校長先生の道徳の時間に先生がお話しになった言葉です。小柄でいつも和服姿で教壇にお立ちになった校長先生の穏やかな口調が懐かしく思い出されます。
〝責任を重んじ、礼儀を厚くし、よき社会人であれ〟という母校の校訓についてのお話の中で、世の中にはいくら言い訳や理屈を言っても「ならぬ事はならぬ」ことがあるというお話でした。


中学生になって大人になったような気分で浮かれていた私は穏やかながらも厳しい先生の言葉に背筋がピンとなったものでした。
会津藩の什(じゅう)の掟(おきて)では七カ条の掟の最後に「ならぬ事はならぬものです」と強調して幼年の子供たちを厳しく戒めていますが、この厳しさが失われたことが現代の自己中心的な〝自分さえよければ(他者はどうなってもよい)〟という風潮を生んでいると思われてなりません。
教育とは単に知識・技術を身に付けさせることだけでなく、自立心を養い、よき社会人としての公徳心を涵養することのすべてを包括するものだと思います。
気迫を込めて「ならぬ事はならぬものです」と教えることを社会全体で再認識したいものです。
会津藩 什の掟
一、 年長者の言うことには背いてはなりませぬ
一、 年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
一、 虚言(ウソ)を言う事はなりませぬ
一、 卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ
一、 弱いものをいじめてはなりませぬ
一、 戸外でモノを食べてはなりませぬ
一、 戸外で婦人と言葉を交わしてはなりませぬ
ならぬ事はならぬものです