子は親の背中を見て育つ

だいぶ前になるが、テレビのワイドショーの司会の話を思い出した。その内容は戦後間もない子供のころ父親と長距離列車に乗ったときのことである。
混雑している列車の中でもよおして来たので列車のトイレに入った。ところが中はとても汚れていたので用を済ませず、そのまま座席に戻り父親にその旨を告げた。
すると父になぜそのまま戻って来たのかと叱られた。父親は自分の手を引きそのトイレに入った。そして持っていた新聞紙で自分もいっしょに掃除した。「どうだ、綺麗になったろう。さあ用を済ませなさい。汚いからとそのままではいけない。綺麗になれば気持ちがいいだろう」。父は身をもって教えてくれたという話である。


私はこの話にとても感動した。それから10年以上たち私も子供を持つ身となった。ある時電車に子供と乗っているとき車内を空き缶が転がっていた。私は何気なくそれを拾い下車する際にゴミ箱に捨てた。
しばらくたって用事で子供と電車に乗った。また空き缶が転がっていたが見過ごしていた。すると今度は子供がそれを拾い下車の際ゴミ箱に捨てたのである。
私は驚きどうしたのかと子供に尋ねると「この前いっしょに出かけたときに、お父さんが空き缶を拾っていたから」と言うのである。私が何気なくしたことを子供はずっと覚えていたのである。「子供は親の背中を見て育つ」。やはり躾(しつけ)は親や大人が率先しなければならないと思い知らされた。