かけがえのない宝物

あるご婦人から二人の男の子を育てたときの話を聞きました。もう、すでに子育てから開放されたお年になっているのですが、その当時のことを具体的に話されたのです。私はその話に感動し、涙をぬぐいながら聞きました。
その方は、最近のお母さんが「子供を作るとか、作らないとか」という話を聞いてとても抵抗を感じるという。「子供は授かりものであり、子供は親を選ぶことはできない。私の下(もと)に縁あって生まれてきたのだから、親として子供を立派に育てる使命があり、厳しく育ててきた」と言います。でも話を聞いていると、子供に対する深い愛情を感じました。
また、子供の前では父親の悪口は決して言わず「この世の中で一番立派な人はお父さんなのよ」と言い聞かせてきたそうです。一家の中心である父親を立てることはとても大切なことです。また、その方自身がご主人を尊敬していることがはっきりと分かりました。
そして「どんなに貧しくても、貧しいことは恥ずかしいことではない」と言い聞かせたそうです。私たちはどうしても他人と生活のレベルを比較しがちです。しかし、物質的な豊かさよりも、もっと大切なものがあることをきちんと教えていたのではないかと思います。


ある時、子供がわが家には「宝物がひとつもない」と言ったそうです。お母さんは「家にはとても大切な秘密の宝物があるのよ」と言い。幼い子供が「それは何、ぼくに教えてほしい」と言うと、お母さんは子供を抱きしめて「それはあなたよ」と答えたそうです。
そうすると、子供はわっと泣き出してお母さんにしがみついてきたそうです。その一言で子供は親からどれほど愛されているのか理解できたのでしょう。
また、下の男の子が小学校に上がるころの話です。下の子は体が丈夫ではなかったそうです。近所の人がお母さんとその子の前で「こんな子でも小学校にあがるんだねえ」と言ったそうです。病弱で小さかったから、何気なしに言ったのでしょうが、その言葉がどれほど人を傷つけてしまうのか分からなかったのでしょうか。
お母さんはその直後に自分の至らなさを反省し、子供を抱きしめてあげたそうです。そうしたら、六歳の子が「お母さん、ごめんね、自分がもっとしっかりして、もっと丈夫になっていればこんなことを言われなかったのに、本当にごめんね」と言い、さらに「自分が言われてつらいと思うことは、決して他人に言わないことが大切だよね」と言ったそうです。
6歳の子が人を思いやる気持ちを備えていることに驚きましたが、親からきちんとした教育を受けているから、そのような言葉が自然に出たのでしょう。
最後に「子供からは教えられることばかりでした」とおっしゃいました。どこまでも謙虚であり、親の愛情の深さをひしひしと感じました。
この話を聞いて、当時、このご婦人は信者ではありませんでしたが、真に御教えを実践していたのではないかと感じました。また、親子の絆の尊さ、子供のしつけの大切さを感じました。そして、今ではそのご婦人は神霊教にご縁を頂き、熱心に信仰を続けています。
このような素晴らしい出会いがあり、素晴らしいお話を聞けたことは、私の財産です。